2013年3月7日木曜日

本を出します



平岡隆二著
『南蛮系宇宙論の原典的研究』 比較社会文化叢書 vol. 27
(花書院、2013年3月末刊行予定) A5版、横組み・脚注、約320頁、定価2500円(税込み)

概要 
日本人が初めて出会った西洋科学とは、一体どのようなものだったのか?キリシタン時代の来日宣教師が伝えた西洋宇宙論をとりあげ、そのラテン語原典から、江戸時代における流布と受容の実態までを、日欧の豊富な一次史料に基づいて初めて甦らせる。

より詳しい内容と入手方法(本屋やネット書店にはほとんど流通しません)については、下記特設ページをごらんください。

特設サイト http://hiraokaryuji.wix.com/nambankei




章立て
はじめに 問題の所在と研究の射程

第1章 イエズス会の日本布教と宇宙論
   1.好奇と理性
   2.デウスの存在証明 ―デザイン論―
   3.パライソの場所 ―エンピレウム天―
   4.小結
第2章 ゴメス『天球論』の原典的研究
   1.『天球論』の背景
   2.西洋側原典
   3.日本で使用するための配慮
   4.小結
 第3章 ゴメス『神学要綱』の天文学的数値とクラヴィウス
   1.『神学要綱』中の天文学的数値
   2.数値の欧文原典
   3.忠庵系宇宙論書との比較
   4.小結
第4章『二儀略説』の流布と受容
   1.写本の流布と受容
   2.『天文方書留』に見る蘭学系知識との混在
   3.『天文方書留』の成立過程と著者像
   4.小結
第5章 『乾坤弁説』の流布と受容
   1.「乾坤弁説」と題する写本
   2.「天文沙汰弁解」と題する写本
   3.「四大全書」と題する写本
   4.「弁説南蛮運気書」と題する写本
   5.未調査・現所在不明の写本
   6.小結
第6章 『南蛮運気論』の流布と受容
   1.写本の流布と受容
   2.現存写本の書写系統
   3.小結
第7章 結論 

付 録
   A ティテルマンス『自然哲学要綱』第6・7書の章題と見出し語一覧
   B ゴメス『神学要綱』第1部第2論考第21章羅和対訳校訂本
   C 『天文方書留』翻刻テクスト
   D 大河内本『南蛮運気論』翻刻テクスト
文献一覧
あとがき


堀田仁助

 明和2年(1765)9月20日付で「堀田兵之助」が渋川図書光洪宛に提出した、天文暦術の誓約書が現存する。これは津和野藩士の堀田仁助(1745-1829、通称ははじめ兵之助、号は泉尹)のことだろう。堀田は天明3年(1783)に幕府天文方属員となり、寛政改暦にも参加し、また地理学・...