2020年9月24日木曜日

発掘調査で見つかった長崎奉行所西役所の石垣

江戸時代の日本と世界をつないだ出島や唐人屋敷は、それ単独で存在していたのではなく、この石垣の主である長崎奉行所西役所とセットで考える必要があります。

キリシタン時代にはイエズス会本部が、幕末には海軍・医学伝習所が置かれるなど、史跡の町・長崎でも、これほど重要な場所はほかにないと断言できるほどです。

個々の遺構や遺物はもちろん、「場」としての文化財的価値も、後世に向けて確実に維持されるような整備計画が進むことを、切に望みます。


長崎県庁跡地の発掘調査で見つかった石垣 専門家視察(NBC長崎放送)

https://news.yahoo.co.jp/articles/52875f45784d2b9470fccf4e003a27ab0403bb35

2020年9月22日火曜日

【告知】朝日カルチャーセンター京都講座「長崎・天草のキリシタン文化」(10月17日)

【告知】朝日カルチャーセンター京都さんの一般向け講座で、10月17日(土)に「長崎・天草のキリシタン文化」と題してお話しさせていただくことになりました。

 京都教室での対面講座だけでなく、オンライン講座も併設していますので、遠隔の方でもご参加頂けます。受講をご希望の方は以下のURLからぜひお申込みをお願いします。上がオンラインで下が対面式です。

https://www.asahiculture.jp/.../610cd3c6-9a5a-ea4f-0692...

2020年8月26日水曜日

山田慶兒『混沌の海へ:中国的思考の構造』筑摩書房、1975年

 中国の哲学はひたすら人生の目的を追求してきた。哲学者たちの思索は、ついに人間という関心領域をはずれることがなかった。自然にかんする思索といえども、人間にかんする思索の自然主義的立場からの基礎付けとして展開された。いいかえれば、哲学はなによりもまず人間学だったのである。(3頁)

2020年8月20日木曜日

『史記』天官書

 太史公曰。[中略]仰則観象於天。俯則法類於地。天則有日月。地則有陰陽。天有五星。地有五行。天則有列宿。地則有州域。三光者陰陽之精。気本在地。而聖人統理之。

2020年7月22日水曜日

西川正休「大略天學名目鈔」(『天経或問』和刻本附録)

 [01]或初學問テ曰ク、天學ヲ習得テ何ノ用有ル乎。
 答曰ク、天學ヲ習得テハ、大略天地ノ理ヲ窮ル也。聖人ノ道ハ格物ヲ以テ初トス。格物ハ何ゾ。萬物ノ理ヲ窮ル也。萬物ノ理ヲ窮ルコト、天地ノ理ヲ窮ルヨリ大ナルハ無シ。

 [02]問。然ルニ堯舜ハ天學ヲ宗トシ欽敬シ玉ヒテ、授時ヲ以テ布政ノ最初ト為ト雖ドモ、前聖ノ道ヲ大成シ玉ヒシ孔聖ハ終ニ天學ヲ説玉ハザルハ何ゾヤ。
 曰ク、孔子モ天學ヲ説玉ハザルニ非ズ。夫レ天學ニ二義アリ。命理ノ天學ト形氣ノ天學トナリ。性命五常ノ道理ヲ窮ル。是レ命理ノ天學也。日月五星ノ運行推歩測量ヲ修ル。是レ形氣ノ天學也。
 命理ト形氣ト本二ツニ非ズ。天ハ虚ニシテ大氣充塞運動シテ體質ナシト雖モ、日月ノ形象南北ニ運行シテ四時行レ、春温夏熱秋令冬寒ト四季ノ土旺ト共ニ五氣アリ。又天ニ衆星多シト雖ドモ、辰星、太白星、熒惑星、歳星、鎮星ノ五星ハ衆星ニ異リ、光映五行ノ色ヲ顯シ、運行モ亦日月ノ如ク各々ニシテ遲速同ジカラズ。是レ即チ天ノ五行也。此ノ五氣ヲ地ニ與ヘテ五物ヲ生ズ。地ハ實ニシテ土質凝聚静定シ、金木水火ノ四ツ土ニ依リ附キ、五行ヲ以テ地ノ體質ヲ成シ、天ノ五氣ヲ稟テ五物生ジ、五物生々変化シテ萬物ト成リ、一物各々命理ヲ具ス。人ハ天氣地質ノ間ニ生ジ、骨肉血毛温ノ五體、心肝腎肺脾ノ五臓ヲ以テ體質ヲ成シ、此ノ身體ノ内ニ天ノ五氣呼吸ニ随ヒ、呼ニ出テ吸ニ入リ、地ノ五物五味飲食ニ入リ、二便ニ出ヅ。又人心ハ命理ノ居所、一身ノ主宰タルニ依テ、天ノ虚ナルガ如ク、心理モ亦虚也ト雖ドモ、天ノ五氣、四時ニ依テ發顯著キカ如ク、心理ノ五常モ亦四端ニ依テ顯ル。此ノ如キノ三才一貫ヲ窮ル、是ヲ命理ノ天學ト云。
 又日月五星ノ運行ヲ推歩測量シテ、四時ヲ定メ時ヲ授ケ、或ハ世界ノ萬國ニ行舟シ、或ハ邦國山川ノ地理ヲ窮ル。是ヲ形氣ノ天學ト云。
 形氣ナケレバ命理モナク、命理ナケレバ形氣モナシ。天地形體アルガ故ニ、理ト氣ト形體ノ中ニ具リ、人間形體アルガ故ニ人氣ト心理ト形體ノ中ニ具リ、萬物形質アルガ故ニ氣味ト効能ト形質ノ中ニ在テ、理氣形ノ三ノ者ハ相離レズ、聖人ハ教ヲ以テ主トス。一人ノ命理昧ケレバ億兆ノ人ヲ殘虐シ、一人ノ命理明ナレバ億兆ノ人ヲ救恤ス。是故ニ孔子ハ専ラ命理ノ天學ヲ以テ人ヲ教ユ。孔子若シ位ヲ得テ天下ヲ治メ玉ハヾ、堯舜ノ如ク日月星辰ヲ暦象シテ時ヲ授ケ、禹王周公ノ如ク邑國山川ノ地理ヲ修メ、夏ノ時ヲ行ヒ玉ヘルコト必定也。

 [03]問。堯舜ハ形氣ノ天ヲ述ベ、孔子ハ命理ノ天ヲ述ベ玉フニ、堯以前ノ聖人モ天學ヲ述ベ玉ヘル乎。(下略)

2020年6月10日水曜日

『暦象新書』西域天學来暦


   西域天學来暦
是書は、暗厄里亜國人奇兒氏なる者の著せる天學書中の説にして、其説古來天學家の謂ふ所に異也。古來天學家は、皆天を動とし、地を靜也として、地を以て天の中心とす。然るを是書は、天を靜也とし、地を動とし、且又地球の外に、許多の世界あるの理を云。按ずるに、近世彼方に行るゝ天學、其本は亞夫利加洲の厄日多國に起りて、厄勒祭亞の總王たりし時、學士比太古刺私といへる者、彼國に渡り、在留する事七年にして、學び得て歸國せり。此時此學初て歐羅巴洲に渡れり。然れども當時亞里私鐸底兒斯杯云し大家の學者、多くは舊説を固執して、新渡の學流、古來相傳の師説に合ざるを疾ける故に、僅に數箇所の學校にして、是を講ずるのみにして、盛に行るゝこと能ざりし。
(『文明源流叢書』巻二、百一頁)

2020年5月4日月曜日

今井溱『中国物理雑識』序

   序
 譬へてみればこれは水盤の底に列んだ雨花臺の砂利みたいなものである。在るものは十年餘も喰ひ下つた問題もあるが、中には一、二日で纏め上げたものもあり、玉石混淆、玉と云つてもメナウ位に過ぎなく、はづかしい次第である。
 もし少しでも見處があるとしたら、それは清水の御蔭で、出版に當つて藪内[清]、水野[清一]兩先生初め東方文化研究所の諸先生方の御援助の賜物である。東方學術協會の叢誌として刊行されることになつたことは誠に身にあまる光榮である。
 とは云へ、筆者個人の主觀からすれば、この十數年間に書き綴つた戀文集でもある譯で、中國に對するひたむきな愛を現してゐる。筆者はこの空白な十年間、上海で此様な事に夢中になついてゐた譯で、何となく樂しく又何となく無責任な様で氣の引ける事である。
 しかし現在總べては過去の思ひ出となつて了つた。江南の四月、ウィルドの經緯儀にとまつたカササギも、測地テープでおひまはした黄蝶も、暖かつた背中の太陽の温度も、今は實は夢だつたのか、現だつたのか疑はれる。
 再びあれらの日々は歸つてくるだらうか。いまいましい現實には少しの保證も見出されない。唯だ上海で多數の歸化者を出してゐるといふ新聞記事に、何か或るチヤンスをいつした様な、或るウラヤマしさを病牀で感じ涙ぐむのみである。
 しかし、自分はこれ等の過去をのり越えなければならない。實現するかどうかは別としても、再び踏む中國への旅行準備を始めなければならない。
 終りに特別の厚意を賜つた和風書院主濱地藤太郎氏及び東方文化研究所の能田先生に深く感謝する。
  昭和二十一年一月十八日          著 者 識

(今井溱『中国物理雑識』全国書房、1946年、序)