今年の前期は京大文学部の特殊講義「東西宇宙観の出会いと交流」の準備に追われ、夏以降も発表が重なったりでかなり忙しかった。コロナで講演が飛んだりもした。4月にはじまった人文研の研究班「仏教天文学説の起源と変容」はだいぶ軌道にのってきて、ありがたいことである。今年中にどうしてもまとめたかった原稿は、まだもうひとふんばり。だが、だいぶ目処が立ちつつある。アウトプットは少なめだが、現況を考えるとやむなし、というかよくがんばったと思う。2017年くらいから自分の研究は新しいフェイズに入ったと思う。とくに科学史事典の原稿を書かせてもらえたのは、ありがたかった。そのアイデアをどう形にしてゆくかが、来年以降の課題である。今年も公私ともに多くのみなさまのお世話になりました。みなさまどうぞよいお年を。
<出版物>
平岡隆二「江戸の天文暦学:西洋天文学知の多様な自己化」、日本科学史学会編『科学史事典』丸善出版、2021年5月、318-321頁。(項目執筆)
平岡隆二「沢野忠庵」「ビュルゲル」「西学書」「坤輿万国全図」「長崎遊学」、洋学史学会監修、青木歳幸ほか編『洋学史研究事典』2021年9月。(項目執筆)
<学会発表等>
HIRAOKA Ryuji. "A Public Cosmology Lecture with a Clockwork Astronomical Model in 18th Century Japan." at 26th ICHST 2021 (International Conference of History of Science and Technology), Prague (Zoom), 2021年7月28日。
平岡隆二「イエズス会科学と近世仏教:初中期仏僧の西洋地球説への反応を中心に」、科研費学術変革B”中近世における宗教運動とメディア・世界認識・社会統合(ReMo研)”合同研究会「科学、医療、宗教の相互連関─中近世のキリスト教と仏教を中心に─」(オンライン開催)、2021年9月15日。
平岡隆二「開陽丸引き上げ文書と梅文鼎『暦算全書』」、洋学史学会オンラインシンポジウム「開陽丸引き揚げ文書について 幕府天文方と開陽丸」、2021年11月14日。