出張中に東京でいくつか展覧会を見る。
◇三井記念美術館「江戸を開いた天下人 徳川家康の遺愛品」
ご好意で招待券を頂いたので日本橋まで足を運ぶ。南蛮銅具足、スペイン時計、西洋コンパス、クマ時計、眼鏡、鉛筆、薬壺、乳鉢・乳棒などを一堂に展示し、海外交易や科学知識への家康の関心が強調されている。駿河版銅活字や羊皮紙ポルトラーノ日本図もある。
◇東博・特別展「細川家の至宝 珠玉の永青文庫コレクション」
中世から近現代までをカバーする。「細川サイエンス」の成果が反映されていることを少し期待していたが、時期的に近かったのか、展示コンセプトからか、関連資料は非常に少なかった。逆に考えると、偶然両方を見れたのは僥倖と言うべきか。
◇東博・平常展「特集陳列 海を渡った日本の漆器」
すばらしい作品が出ていたので、飛行機までの時間をこれに費やすことにした。「花鳥螺鈿裁縫机」の蓋裏には「.../ Nagasaki / 1851 /...」と見え、解説にもあるように、まさしく長崎青貝のベンチマークとすべきものだろう。「フリーメイソン螺鈿箱」は明治時代の作とのこと。「花樹草花蒔絵楯」は水牛の皮。輸出漆器は実に奥が深い。
2010年6月2日水曜日
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土田健次郎「儒教とは何か」
土田健次郎「儒教とは何か」、大月杏奈ほか編『儒教のかたち こころの鑑:日本美術に見る儒教』(展覧会図録)サントリー美術館、2024年、8-14頁。 日本の歴史に儒教が果たした役割が簡潔かつ見事にまとめられている。長年の研究で練り上げられた独自の視点と語り口が光っている。こういう...
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