孫文展がらみで1週間ほど出張。仕事と台風の合間をぬって展覧会へ。
◇「琳派・若冲と雅の世界」@岡山県立美術館
京都・細見美術館の収蔵品展。名品ぞろいだが、人はほどほどで快適。光悦、宗達、抱一、其一、若冲と進むが、個人的には其一にもっとも魅力を感じる。七宝の釘隠や引手もすばらしい。最後に南蛮漆器の洋櫃と「南蛮人行列図」一幅を配するが、これも雅なんだろうか。
◇印刷博物館・常設展
展示換えにより半分閉室中で出鼻をくじかれたが、初期近代西洋や蘭学関係のものを中心にじっくり見ていく。科学史と印刷史の接点のあたりは、今後やってみたい研究・展示テーマ。木版、エッチング、エングレービング、ドライポイントの違いについても、映像で見ると、まさに百聞不如一見。とにかく映像が豊富だが、早送り・巻き戻しができないのと、残り時間がわからないのはちょっとストレス。駿河版銅活字は以前三井記念館の家康展で見たが、常設に出ていてうれしい。安藤末松や島活字に興味深々。本木昌造旧宅の写真が映像で使われていたが、どこの所蔵だろう。「印刷の家」での植字・印刷ワークショップはさすがで、百見不如一干。
◇「江戸時代の文人画 荻泉堂コレクション受贈記念」@早稲田大学會津八一記念博物館
すべての賛文と落款をおこし、『芥子園画伝』との比較など芸も細かく、大変勉強になりました。方西園「菊花叭々鳥図」は木村蒹葭堂の鑑定とのこと。池大雅はだいたい好きだが「李白詩意図 敬山亭」にも大いに満足。鄭培「扇面蟹図」は、こういう作品と出会うたびに、聖堂文庫史料を基礎にした来舶清人データベースが作れないかと思うのだが、言うは易し。
◇大隈記念館@同上
パネルで「旧致遠館」という写真が「宮島醬油店提供」として紹介されている。長崎では見たことがないものだった。
帰りは久しぶりに東京・長崎、美専車の旅。
東博の孫文展、いよいよあさって開幕。
2011年7月24日日曜日
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