(序文より)
本書は…古代文化の一要素としての占星術が、ある文明から他の文明へと、ある時は変貌し、ある時は古い姿を保持しながら伝播していった様子を歴史的に眺め、占星術が文化交渉史の中で果たした役割の大きさを具体的にしめそうとしたものである。
…占星術は現代でこそ「疑似科学」と呼ばれ、正統な学問の対象とはみなされていないが、近代科学が興るまでは天文学と表裏一体の関係にあった。天文学が天象の規則性を数理的に追究していったのに対し、占星術は天象と人間の関係を求め、未来を知りたいという人間の願望に応えようとしていた。占星術は天の学を人間の学へと近付ける試みであり、それだけに、数理天文学よりもはるかに広い層によって支持されてきた。
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