◇「川原慶賀と服飾展」@シーボルト記念館
ライデン民博の慶賀図(とくに年中行事図)の中に見える人々の着物と同じorよく似た実物を対照して見せる趣向。有名なシーボルト妻子像螺鈿合子も出ていた。慶賀を見ながら、やはりチャイナ・トレード・ペインティングについて考える。こういう本を見つけたが、ちょっと高いね。
◇「ウルトラマン・アート!時代と創造―ウルトラマン&ウルトラセブン」@長崎県美術館
世代だけに、それなりに楽しめるだろうと思ってはいたが、ヒーローの脱構築まではいかないまでも、番組制作の内実や背景にまで踏み込んだ内容で、いい意味で予想を裏切られた。エメロン聖人にはちゃぶだいとたたみがよく似合う。怪獣たちの肉筆画はとてもよい。特撮がいかに視覚効果を有効に使ったものかということも分かる。科学特捜隊のくたびれたブーツや手袋に、自分の年を感じた。
◇「戦後日本の版画 ― 長崎市所蔵コレクションより」@同上
特集展示。入り口付近の、田川憲の作品群が圧巻。田川さんは近代の長崎人が長崎に対して漠然と抱いている郷愁や心象風景を版画で表現しようとし、見事に成功している稀有な版画家。その仕事は近世の長崎版画の正当な後継者でもある。市からの寄託品とのことだが、将来是非個展を開催して欲しい。
追記:
余談だが、先日一二三亭さんで食事会に参加したとき、1番奥の部屋に田川憲の大振りの書がかかっているのを教えて頂いた。またカウンター席の背中にも、木下逸雲の唐人遊女図が架けられていて、これが実に愛すべき小品である。こういうものをさらっと架けておられるところは、まことに心憎い演出で、江戸時代から文化人のサロンだった長崎の料亭の心意気を感じずにはいられない。
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