松田清氏の「tonsa日記」で紹介されはじめた東北大学附属図書館狩野文庫中の蘭書のうち、『オランダ王立兵学校略年鑑 1851-1864』Jaarboekje voor de Koninklijke Militaire Akademie. Eerste[-etc.] Jaargang 1851[-1864]. te Breda by Broese & Comp. 14 booklets in 1 volは、長崎海軍伝習(安政2年~6年、1855-59)で行われたカリキュラムを検討する上で重要な一次資料との由である。
他方、日本語で残された資料のうち、長崎歴史文化博物館・藤文庫収蔵の「海軍伝習方書類」(藤文庫16_13-1)は、同時代の長崎で作成された資料という意味でも、またそのカリキュラムを如実に伝えるほとんど唯一の邦語文書という意味でも、きわめて重要と思われるので以下に翻刻文を紹介する。
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[文書一紙・上段]
三(十一) 四(三) 閏五(七) 六(六)
日 休
午前 午後
月 舩具 造舩
蒸気機械 算術
リーニースコール 備ノコト
火 築城 炮術
算術 航海
ハタイロンスコール 銃陣ノコト
水 造舩 運用 但水曜之□□御舩
算術 ハタイロン
蒸気機械
木 舩具 築城
下等士官心得方 算術
後蒸気機械
前下等士官心得方
金 運用 炮術
(算術) 蒸気機械・算術
調練
土 稲佐調練 (稲佐調練)・航海
(航海) (蒸気機械)・リーニー
(リーニー)
蒸気機械
安政巳三月七日水曜之發
[下段]
蒸[気機械] 荒木熊八
築[城]・航[海] 本木昌造
算[術] 楢林栄左衛門
炮[術]・造[舩] 西吉十郎
運[用]・舩具 横山又之丞
セルゼアント 植村直五郎
〆六人
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[文書一紙]
航海・算術 楢林栄左衛門
築城・炮術・造舩 西吉十郎
運用・舩具 横山又之丞
蒸気機械 荒木熊八・三嶋末太郎
リーニースコール・ハタイロン 西富太
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これらは長崎桶屋町乙名を代々努めた藤家に由来する文書群に含まれるもので、第1次から第2次海軍伝習への移行期に作成された文書と目される。この両一紙文書には、月~土曜ごとのカリキュラムの概要(七曜制で記述されていること自体、近世日本の資料としては特異である)、および通訳にたちあったと思われる阿蘭陀通詞らの名が列挙されている。
これらは4月24日(土)に開幕する、日蘭通商400周年記念展「阿蘭陀とNIPPON~レンブラントからシーボルトまで」@たばこと塩の博物館、で展示予定であり、是非その実物をご覧いただければ幸いである。
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