2010年3月9日火曜日

天学家・峰源助蔵書印(長崎の印章02)

印文「投轄楼峯蔵書」(縦長方・陽・朱)、「潔」(円・陽・黒)
永井則『泰西三才正蒙』嘉永3年(1850)刊 <長崎歴史文化博物館 峰440-32>

大村藩の天学家・峰源助(潔。1825~1891頃)の蔵書印である。とりわけ陽刻朱印の方は彼の旧蔵書群(長崎歴史文化博物館・峰文庫)によく捺されている。「投轄」とは、主人が来客を心ゆくまでもてなすため牛車の車輪を留める轄(くさび)を抜き、井戸に投じたという故事に基づく(漢書・陳遵伝「遵耆酒、毎大飲、賓客満堂、輒関門、取客車轄投井中、雖有急、終不得去」)。この号を用いた峰源助も、客と酒を愛する人柄であったに違いない。

0 件のコメント:

コメントを投稿

土田健次郎「儒教とは何か」

 土田健次郎「儒教とは何か」、大月杏奈ほか編『儒教のかたち こころの鑑:日本美術に見る儒教』(展覧会図録)サントリー美術館、2024年、8-14頁。 日本の歴史に儒教が果たした役割が簡潔かつ見事にまとめられている。長年の研究で練り上げられた独自の視点と語り口が光っている。こういう...